最後の「百万遍」in我が家
「明日は我家が『百萬遍』の宿※になるから、準備で大変~!」と、Twitterで書いたら、
「『百萬遍』って何??」「あ~~、懐かしい!ウチも昔やってた!!」「もしかして、『念仏講』のこと?」などなど、思ったより反応が返ってきました。その中に「wikiに載ってたヨ」というのがあったので、ご参考までに--> 「百万遍念仏」
さて、その「百萬遍」が我家で行われたのは3月23日。本当は3月26日にやるらしい(旧暦か、新暦か?根拠は不明)のだけど、その直前の土曜日にやるのが近年の習わしになってるとか。 ※宿といっても宿泊させるのではなく、会場と食事を提供する家
実は私がこの行事に参加するのは2回目。最初は嫁に来たばかりで、右も左も、手伝ってるのが近所の人か親戚なのかもわからない状態。ただただ、大量の食器とご馳走に圧倒されたものでした。あれから10年以上が経過して、この行事の参加者である近所の人たちも高齢化が進み、「入院した」「正座が出来ない」「・・・・」などの理由で参加者も減り、そもそも宿を運営できる家が無くなって来て、この行事の存続が危ぶまれている中、本来はウチの番ではないのだけど、「今年はウチが」と手を上げたらしのです。
さて、この日のイベントの流れを一通り。
○10時30分頃 参加者到着、会費500円とお米を受取る→控え室に待機。お茶淹れ
○11時 参加者が揃ったところで、メイン会場の居間に移動。念仏100回開始
○11時30分頃 念仏終了。食事の準備
○14時頃 解散
昔の漆器は塗りが薄く、木地も軽いような印象
取りに伺った時に、朝絞り豆乳(100円)をご馳走になりました。オススメです!
『しと』とは、酒・砂糖・水を混ぜたもので、2度目の蒸かしの前に打って、調整するそうな。
お団子は、前日、近所のお母さんと親戚のおばさん達で作った手作り。
さ、念仏が始まりました~! 巨大な数珠を回しながら、鐘の音に合わせて「南無阿弥陀仏」を合唱。
数珠の房が回って来た人は、房を額に当てる様にして拝みます。
会場に長テーブルを出して、食事の準備開始。
まずは、日本酒、ビール、ソフトドリンクと、自家製甘酒をアツアツにして提供します。
その間に、汁物用の秀衡塗りのお椀を準備。このお椀もザルの中に無造作に仕舞われていたもの。
今日のお膳のオールスターズ!
手前左・おふかし、手前右・寄席豆腐のあんかけ
中左・…なんだっけ?? 中右・大根の酢の物
奥左・お煮しめ 奥右・ホウレンソウ、煮豆、白和えの三点盛り
その他、浅漬け・たくあん・キュウリの古漬け
「そういうわけで、この地区の百万遍は、今回が最後になるナ」「ウチも息子夫婦が県外だからネ~」「仕出しじゃダメか?」「あんたが良くても、奥さんが苦労するのよ!男にはわからンの!」…そんな話が交錯する中、一人が立ち上がりました。
「俺のおっかぁがなくなる前に、『先祖供養をしっかりしなくちゃわがネ』と言い聞かされてたんダ。だから俺は来年の宿をやる!」
その気持ちは良く判る。みんなも先祖供養をしたい気持ちは同じなのだけど、本来はその伝統を引き継ぐべき子供たちは遠野におらず、居ても「そんな苦労はかけさせられない」と思っている。こうやって、ひとつの世代の衰退(?)と共に、ひとつの伝統が喪われ、同時に絆も薄れていくのだろう。そうは判っていても、私はその様子を見ているしかないのです。
| 固定リンク
| コメント (3)
| トラックバック (0)
最近のコメント